虫、虫、虫、気が狂う

夏です。八月です。何もしていません。

 

部屋を飛び交う羽虫のほかに、話し相手はいないものか?

いないからこんな文章書いてるんですね。

 

とにかく現実から目を背ける事だけに全力を尽くしています。

直視したら死ぬ。

空想、妄想、何でもいいが、せめて頭の中にくらい安全な場所を作っておくべきだ。

現実逃避の手段は多ければ多いほど良い。

悪化の一途をたどる今この時を、その場しのぎにやり過ごさねばならないのだ。

その行く末など知った事では無い。どうせ落ちるなら、好きなだけ底へ落ちるが良い!

 

などと思い切ってしまう度胸もなく、横目でちらちらと現状を、そして真っ暗すぎるこの先を見ては、嫌になって不貞寝する毎日です。

本気で寝てばかりいる。

しかし睡眠よりもましな時間の過ごし方が、果たしてこの世にあるのでしょうか。

将来への不安も、鬱屈した感情の波も、私を急かす蝉の声も、夏になってから台所で毎晩のように遭遇するあれへの恐怖も、全部寝れば忘れられる。

許されるのなら一生寝ていたい。

 

むしろ現実の方が悪い夢で、意識を失っている状態の方が正常なのではないでしょうか?

思考とはそれ自体が病であって、故に進化の終着点を自称するところの人類は、不幸な想定に溜息を吐きながら地上にのさばっている。

下手に分別を得てしまったばかりに、誰も彼もが苦しんでいます。自業自得というやつですね。

 

何も考えずに、死ぬまで幸せになれる薬があればいいのになあと、私は昔から思っています。

傍から見れば薬中でも、幸福など所詮は主観なので、本人が良ければそれでいい。

しかし主観であるはずの幸福さえも、自分の意志でどうこうできないあたりが私らの限界でしょう。

外からの刺激などに左右されず、常に喜びを感じている……とまではいかなくとも、せめて不幸は感じないくらいの心持ちでいられれば良いわけですが、そんな事が出来る人間は仏様くらいしか思い当たらない。

悟りを開けなかった私たちは、目下のところ酒を飲むしかないのです。